伊是名夏子さん「JRで車いすは乗車拒否されました」バッシング激化

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コラムニストの伊是名夏子さんが、旅行中にJRで乗車拒否をされたことについてblogで発信したところ、Twitterを中心としたSNS上では伊是名さんへのバッシング、誹謗中傷や差別的発言が激化しました。

伊是名夏子さんは先天性の骨疾患である「骨形成不全症」をもっており、骨が弱いため普段から電動車椅子で生活されています。伊是名さんはお子さん、ご友人、ヘルパーさんと計5人で旅行を計画。熱海の来宮神社へ訪れようとしたところ、小田原駅でJRの駅員から「来宮駅は階段がないので熱海までしか案内できない」と乗車拒否にあいました。

伊是名さんはその場で抗議し、障害者差別解消法の説明をするなど、粘り強く交渉をしましたが、対応してもらえず、仕方なく熱海駅まで電車で向かうことにしました。すると、熱海駅では一転、駅員4名が待っており、電動車椅子を運んでもらい来宮駅まで無事に行くことができたとのことです。この一連のやり取りに疑問を抱き、blogで発信したところTwitterをはじめとするSNSは炎上しました。

マイノリティの声を封じる2つの手段

SNS上に散見される「自称・反論」は大きく2つに分類されます。

1つは、抗議や発信の仕方が過激だととしたり、「手伝ってもらったのに感謝が足りない」などと、声をあげる側の言葉づかいや方法を糾弾し、論点をすり替える「トーンポリシング」です。「トーン・ポリシング」は昨今、マイノリティの権利獲得の運動への反発が起きたときに度々取りざたされる言葉です。「トーン・ポリシング」を強要する側が理想とする「丁寧な訴え方」では問題が改善してこなかった現状があるため、「あえて」声を荒げて訴えているということ無視し、マジョリティにとって都合のよいあるべきマイノリティ像を押し付けるものです。また、今の時代に私たちが持つ当然の権利も、「過去の誰かが大きな声をあげてきたから」という事実を認知していないからこそ出る言説です。


もう1つは事前の下調べの不足や事前連絡をしなかったことなどを責めるもので、これは「ヴィクティム・ブレーミング」と呼ばれます。「ヴィクテム・ブレーミング」とは文字通り、加害者ではなく被害者を責めることで、特に女性蔑視を背景に性被害にあった女性に向けられることが多いものです。電車に乗るためにいちいち駅の構造を調べたり、事前に連絡するという行為は、健常者であれば不要です。それを「障害があるから」という理由でマジョリティである健常者が一方的に課し、その落ち度を責め立てるのは、この「ヴィクティム・ブレーミング」の典型例です。

「トーン・ポリシング」と「ヴィクティム・ブレーミング」、この2つの手段は、抑圧されているマイノリティに声をあげさせないための方法で、社会運動や人権運動の議論で非常に多く見受けられます。今回、声をあげた伊是名さんは「女性」であり「障害者」であるという2つのマイノリティ属性を持っており、このような大きな反発という形の「口封じ」が行われるのは必至と考えられます。

なお、これらの誹謗中傷に対して、伊是名さんはblogでしっかりと補足と反論をしています。

声を上げた人を守る人

Twitterでは「#伊是名奈津子さんを支持します」「#伊是名さんに連帯します」というハッシュタグが誕生し、たくさんの誹謗中傷にさらされた伊是名さんを守ろう、社会のために声を上げる人々を守ろうという動きもSNS上では見られました。

しかしながら、同じハッシュタグを用い、誹謗中傷や差別発言をするアカウントも賛同の声以上にあり、あらためて声を上げる人を潰そうという社会構造が浮き彫りになった出来事と言えます。

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